健康経営 データ分析
ホワイト500は何で入れ替わったのか
2,454法人のデータから考える2027年の分岐点
このレポートの要点
- 2026年にホワイト500から外れた93法人は、すべて順位の低下で外れていました。順位は足りていたのに必須要件で外れた法人はいません。
- 順位の入れ替わりは、2026年の調査票で設問が大きく変わった評価項目に集中していました。
- そうであれば、2027年は問われ方が大きく変わる領域を見るべきだと考えます。注目するのは、管理職を通じた従業員への浸透、効果検証、方針と目標の明文化と公表の3領域です。
- 2,454法人 2025年と2026年の両方に回答し、比較の対象にした法人
- 93法人 2026年にホワイト500から外れた法人。すべて順位の低下による
- 0法人 順位は500位以内なのに、必須要件で外れた法人
- 0.59と0.77 設問の変更の多さと、入れ替わりの差の大きさの順位相関
ホワイト500は毎年およそ2割が入れ替わります。前のレポートでは、境界を越えた会社に何が見えていたかを、施策の届き方や経営会議の議題から追いました。このレポートでは問いを変え、2026年の入れ替わりが評価のどの部分で起きたのかを、健康経営度調査の評価結果から集計します。そのうえで、2027年の調査票の変更と照らし合わせます。
比べた法人の分け方
健康経営優良法人の大規模法人部門で、2025年と2026年の両方に回答した2,454法人を、2年間のホワイト500の出入りで4つに分けました。
| 群 | 2025年 | 2026年 | 法人数 |
|---|---|---|---|
| 新規 | ホワイト500ではない | ホワイト500 | 96 |
| 脱落 | ホワイト500 | ホワイト500ではない | 93 |
| 継続 | ホワイト500 | ホワイト500 | 388 |
| 圏外 | ホワイト500ではない | ホワイト500ではない | 1,877 |
群の法人数は、公式のホワイト500一覧と評価結果からそれぞれ計算し、全法人で一致することを確かめました。
比べたのは、新規と圏外、脱落と継続の2組です。全法人どうしで比べると、もともとの水準の差がそのまま出ます。そこで、前年に境界の近くにいた法人だけに絞った比較も行い、同じ傾向が出るかを確かめました。
外れた93法人の外れ方
脱落した93法人の2026年の順位は、いずれも500位より下でした。順位は足りていたのに必須要件を満たさず外れた法人はいません。2026年の出入りを決めたのは、必須要件ではなく点数でした。
必須要件の適合率は、継続、新規、脱落の3群でほぼ100%でした。例えば「従業員パフォーマンス指標及び測定方法の開示」は、継続100%、新規100%、脱落98.9%で、圏外だけが54.5%でした。ホワイト500の近くにいる会社にとって、必須要件は満たしていて当然の条件になっています。差がつくのはその先の点数です。
境界の近くでは、前年の総合偏差値の差は1未満でした。前年の水準がほぼ同じ法人どうしで、翌年の出入りが分かれています。
入った法人と外れた法人の項目別の変化
健康経営度調査の評価は、13の詳細項目に分かれています。各項目の偏差値が2025年から2026年にどう変わったかを群ごとに比べると、新しく入った法人が大きく伸ばした項目は次の4つでした。
- 明文化・社内浸透
- 効果検証・改善
- 健康経営の実践に向けた土台づくり
- 情報開示・他社への普及
いずれも、新規と圏外の差は大きい差の目安とされる水準(効果量0.8)を超えていました。外れた法人が落としたのも、同じ4項目が中心でした。
効果検証・改善には、ほかと違う特徴がありました。ホワイト500に残った法人もこの項目の評価を大きく伸ばしており、伸ばせなかった法人が外れていました。少なくとも2026年は、前年の水準を保つだけでは相対的な順位を保てなかった可能性があります。
設問の変更と入れ替わりの関係
この4項目は、2026年の調査票で設問の新設や大幅な変更が多かった項目と重なります。各詳細項目に対応する設問のうち、新設または大幅変更だった割合を出し、入れ替わりの差の大きさ(効果量)と並べました。
13項目で順位相関を取ると、新規と圏外の比較で0.59、脱落と継続の比較で0.77でした。順位相関は、二つの数字の大小の並び方がどれだけそろっているかを表し、1に近いほどそろっています。この13項目の中で設問の変更割合をでたらめに並べ替える計算(並べ替え検定)を繰り返すと、同じ以上の相関が偶然に出る割合は、それぞれ約2%と約0.1%でした。設問がほとんど変わらなかった従業員への浸透と保健指導では差が小さく、設問が大きく変わった明文化・社内浸透と効果検証・改善では差が最も大きくなっていました。
設問の変更が大きかった項目で、順位の変動も大きくなっていました。変更への対応の違いが、順位の差の一部を生んだ可能性があります。
13項目しかないため、相関の数字そのものの精度は高くありません。例外もあり、健診・ストレスチェック等の指標は設問の75%が大幅変更だったのに、差は小さめでした。それでも、設問が変わらなかった項目と大きく変わった項目の差ははっきりしていました。
2027年に注目する3つの領域
2026年は、設問が大きく変わった項目で順位が大きく動きました。2027年も同じことが起きると仮定し、2027年の調査票で問われ方が大きく変わる領域を、2026年の評価項目と照らし合わせました。注目するのは次の3つです。
-
管理職を通じた従業員への浸透
2026年は設問がほとんど変わらず、入れ替わりの差も小さい領域でした。2027年は問われ方が大きく変わり、ホワイト500の必須要件にも関わります。
-
効果検証
2026年に差が最も大きかった領域の一つで、残った法人も評価を伸ばしていました。2027年は求められる水準がさらに上がります。
-
方針と目標の明文化と公表
2026年に差がついた明文化と情報開示に関わる領域です。2027年は、記述が社外から読まれる形に変わります。
このほか、2027年は必須要件が2つ増えます。2026年は必須要件で外れた法人がいませんでしたが、2027年は必須要件で外れる法人が出る可能性があります。
3つの領域のどこに自社の弱いところがあり、どの設問から整えるかは、会社ごとの回答によって変わります。同じ領域でも、すでに対応できている会社と、まだ手を付けていない会社では、次の一手が違うからです。
読み方の注意
- 偏差値は、全回答法人の中での相対的な位置です。ある項目の偏差値が上がったことは、その法人が取り組みを増やしたことと同じではありません。新しい設問にいち早く該当した法人は、偏差値が上がりやすくなります。
- 設問が変わった項目では、どの法人でも偏差値が大きく動きやすくなります。順位相関の一部は、この仕組みで生じています。
- 設問の新設や大幅変更は、設問の文面の類似度で機械的に判定しました。小さな変更が大幅変更に入っている可能性があります。
- 原因を示した分析ではありません。順位の変化と項目の変化が同じ時期に起きたことを示しています。2027年の見通しは、2026年と同じ仕組みが続くと仮定した予測です。
集計の方法と出典
集計の方法
2025年と2026年の評価結果(2025年2,679法人、2026年2,938法人)と、公開されているフィードバックシートを使い、両年に回答した2,454法人を対象にしました。
13の詳細項目の偏差値について、2025年から2026年への変化を群ごとに平均し、群の差を効果量で表しました。前年に境界の近くにいた法人だけに絞った比較でも、同じ傾向が出るかを確かめています。
各詳細項目に対応する設問は、フィードバックシートに載る対応表から取りました。設問の新旧は、番号が年ごとに付け替わるため、文面の類似度で対応づけました。
群の法人数は公式一覧と評価結果から別々に計算して一致を確かめ、主要な項目の偏差値の変化は元の評価結果から計算し直して一致を確かめました。
出典
- 経済産業省「健康経営優良法人(大規模法人部門)認定法人一覧」とホワイト500の一覧
- ACTION!健康経営で公開の健康経営度調査の結果一覧とフィードバックシート(2025年・2026年)
- 健康経営度調査票の見本(2025年度・2026年度・2027年度)
集計値のみを掲載し、個社の数値は掲載していません。観察データの記述であり、取り組みが認定を変える効果を示したものではありません。