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健康経営 データ分析 中小規模法人部門

ブライト500に選ばれる企業は何が違うのか

2025年と2026年の認定法人を比べて分かった、評価の重心の移り方

公開 最終更新 執筆 横川 暢(産業医・gezellig産業医事務所 代表)

このレポートの要点

中小規模法人部門のブライト500について、2025年と2026年の評価結果とフィードバックシートを比べました。前年の順位が近い法人では、翌年入った法人のほうが、前年に効果や数値目標の根拠を発信していると回答した割合が高くなっていました。2026年については、側面ごとの差を配点で重み付けして合計しました。その半分以上を、新設の「組織への浸透」と「健康風土の把握」が占めています。いずれも、順位が変わった原因や健康の改善を示すものではありません。

  • 54.1%2025年のブライト500のうち、2026年も選ばれた割合
  • 61.6%対37.7%前年の順位帯が近い法人で、効果をストーリー立てて説明する記述を発信していると回答した割合(翌年入った法人と入らなかった法人)
  • 52%と57%前年の境界付近の法人で、配点で重み付けした2026年の側面差に占める新設2側面の割合(新規入りと入れず、脱落と維持)
  • 16/17ブライト500の認定に必要な適合項目の数(2026年から)

比べた法人と比べ方

材料は中小規模法人部門の評価結果一覧とフィードバックシートです(2025年3,545法人、2026年3,517法人)。フィードバックシートが公開されているのは2025年認定と2026年認定の2年分だけです。分析の対象は、ブライト500の評価結果一覧に載った法人で、中小企業全体を代表するものではありません。偏差値は、その年のブライト500申請法人全体を基準にした相対的な位置です。

2025年の評価結果に載った3,545法人を、2026年の結果で6つの群に分けました。ブライト500かどうかは認定法人一覧で決め、法人番号で年をまたいで照合しています。

比べた群と法人数
群2025年2026年法人数
新規入りブライト500ではないブライト500171
入れずブライト500ではないブライト500ではない(評価結果あり)1,829
維持ブライト500ブライト500270
脱落(評価結果あり)ブライト500ブライト500ではない(評価結果あり)207
脱落(評価結果なし)ブライト500評価結果一覧に載らない22
その他ブライト500ではない評価結果一覧に載らない法人など1,046

「評価結果なし」は翌年の評価結果一覧に載らないという分類で、申請しなかったことを直接確かめたものではありません。

全体で比べると、もともとの水準の差がそのまま出ます。そこで、前年に境界の近くにいた法人に絞った比較も行いました。順位は50位刻みの帯で公表されています。新規入りと入れずは、2025年の公表順位が501〜1500位の帯だった138法人と732法人です。脱落と維持は、251〜500位帯だった127法人と103法人です。

群は2026年の結果で決まります。そのため、2026年の回答の違いは、この分け方そのものを含みます。2025年の回答は、分け方より前の時点の観測です。この区別は以下のすべての比較に関わります。

毎年入れ替わる枠

ブライト500は毎年かなりの法人が入れ替わり、その割合は年によって違いました。維持率は、前年のブライト500のうち翌年もブライト500だった法人の割合です。2021→2022年は50.7%(537法人中272法人)、2022→2023年は56.0%(502法人中281法人)でした。2023→2024年は70.7%(499法人中353法人)、2024→2025年は72.3%(498法人中360法人)に上がりました。2025→2026年は54.1%(499法人中270法人)に下がっています。

2021年から2026年までの5回について、前年のブライト500が翌年も選ばれた割合を示した棒グラフ。評価の側面が増えた2022年・2023年・2026年は50.7%、56.0%、54.1%で、側面が変わらなかった2024年・2025年は70.7%、72.3%。
図1 前年のブライト500が翌年も選ばれた割合(維持率)。分母は前年のブライト500の法人数で、認定法人一覧の法人番号で数えました。図をタップすると拡大して表示します。

評価の側面が増えた年(2022年・2023年・2026年)は、維持率が50〜56%でした。側面が変わらなかった年(2024年・2025年)は71〜72%でした。ただし5回分しかなく、規則とまでは言えません。2025年にはネクストブライト1000の新設、2026年には認定要件の引き上げも重なっています。

2025年のブライト500 499法人のうち、2026年も残ったのは270法人です。180法人がネクストブライト1000へ、33法人が一般の認定へ移り、16法人は認定法人一覧に見当たりませんでした。2026年に新しくブライト500になったのは225法人です。前年の区分はネクストブライト1000が139法人、一般の認定が70法人、前年の一覧に見当たらない法人が16法人でした。2025年に新設されたネクストブライト1000が、主な供給源になっています。

翌年ブライト500に入った法人は、前年に何を発信したと回答していたか

前年に境界の近くにいた法人どうしでは、総合点の差は小さくなりました。目立った違いは、取り組みを社外に説明する発信でした。

2025年に501〜1500位帯だった法人に絞ると、2025年の総合偏差値は新規入り59.2、入れず57.9でした。全体で比べたときより差は縮みましたが、新規入りのほうが高く、前年の水準が完全にそろった比較ではありません。側面別に見ると、新規入りのほうが自社からの情報発信で4.3、外部からの情報発信で4.3高い値でした。経営者・役員の関与(1.4)とPDCA(2.0)の差より大きめです。

ここでいう発信は、申請書の設問「どのような内容について発信を行っていますか」への法人の回答です。自己申告で、実際の公開物を確かめたものではありません。

2025年に501〜1500位帯だった法人のうち、翌年ブライト500に入った138法人と入らなかった732法人について、7つの発信内容を選んだ割合を並べた図。どの項目も入った法人が約20ポイント高い。
図2 2025年に発信していると回答した内容の選択率(2025年に501〜1500位帯だった法人)。申請書の設問への回答で、実際の公開物を確かめたものではありません。図をタップすると拡大して表示します。

差が大きかったのは、健康経営の効果をストーリー立てて説明する記述で、61.6%対37.7%でした。数値目標の設定に至った背景・根拠も、59.4%対35.5%と差が大きい値でした。解決したい経営上の課題は79.7%対58.5%、効果を示す経年の定量的なデータは56.5%対34.0%です。この二つも20ポイント以上の差があります。順位帯をそろえない全体の比較では、経営上の課題の発信は74.9%対37.8%で、差はさらに大きくなります。

これらの選択率は、翌年の結果で分けた群の前年の回答です。発信していたことが評価を押し上げたのか、発信できるほど取り組みが進んでいたのかは、このデータでは区別できません。

2026年の差はどの側面に集まったか

2026年の側面ごとの差を配点で重み付けして合計すると、その半分以上がこの年に新設された二つの側面のものでした。

2026年の評価は6つの側面からなります。配点は経営者・役員の関与20、組織への浸透10、PDCA35、健康風土の把握20、自社からの情報発信10、外部からの情報発信5です。組織への浸透では、経営と従業員が対話する機会や、管理職を通じて方針への理解を確かめる取り組みなどを問います。健康風土の把握は、職場の雰囲気や従業員と経営のやりとりの変化を、どのような方法でつかんでいるかを問う側面です。どちらも2026年に新設され、配点は合わせて30でした。

2026年の側面ごとの差(2025年に境界の近くにいた法人)
側面(配点)新規入り−入れず重み付けした差に占める割合脱落−維持重み付けした差に占める割合
経営者・役員の関与(20)+4.211%−2.710%
組織への浸透(10、新設)+14.218%−10.018%
PDCA(35)+3.616%−2.818%
健康風土の把握(20、新設)+13.634%−10.839%
自社からの情報発信(10)+13.116%−7.413%
外部からの情報発信(5)+7.45%−2.83%

差は2026年の偏差値の差です。割合は、側面ごとの偏差値の差に配点を掛けた値の、6側面の合計に対する割合です。四捨五入のため、合計が100%にならない列があります。

2026年の評価差を、新設の2側面と既存の4側面に分けた帯グラフ。新しく入った法人と入らなかった法人の比較では新設2側面が52%、既存4側面が48%。外れた法人と残った法人の比較では57%と43%。
図3 2026年の評価差に占める新設2側面の割合(2025年に境界の近くにいた法人)。各側面の偏差値の差に配点を掛けた値の、合計に対する割合です。総合偏差値の差を直接分けたものではなく、順位の変化の原因の割合でもありません。6側面の内訳は上の表にあります。図をタップすると拡大して表示します。

新設の二つの側面は、新規入りと入れずの比較で約52%、脱落と維持の比較で約57%を占めました。健康風土の把握は、配点20でPDCAの35より小さいのに、34%と39%を占めています。配点で重みを付けた側面の合計と総合偏差値には、非常に強い相関がありました(0.9987)。ただし、この割合は観測された総合偏差値の差を直接分けたものではなく、近い内訳として読むものです。

群は2026年の結果で分けているので、2026年の評価に差が出ること自体は、分け方から見込まれます。この分析で分かるのは、その差がどの側面に集まっていたかです。この割合は、新設の二つの側面が順位の変化を生んだ割合ではありません。

満点に達した法人の割合にも差がありました。境界の近くにいた法人に限ると、健康風土の把握で満点だった法人の割合は、新規入り44.9%と維持41.7%に対し、入れず1.2%と脱落3.1%でした。組織への浸透も同じ形で、35.5%と40.8%に対して1.4%と5.5%です。

新しい評価が加わった項目で入れ替わりが大きくなる傾向は、大規模法人部門でも見られます。ホワイト500の入れ替わりを調べたレポートでは、2026年に設問が大きく変わった評価項目で出入りの差が大きくなっていました。

外れた法人は何が違ったか

前年にブライト500だった法人が残るか外れるかも、2026年の新設の二つの側面で分かれていました。

2025年に251〜500位帯だった法人では、脱落が127法人、維持が103法人です。2025年の総合偏差値は63.3対63.4で、ほぼ同じでした。ただし、前年の時点でまったく差がなかったわけではなく、発信の内容の一部は維持のほうが高い値でした。経営上の課題の発信は81.9%対90.3%、効果のストーリーは68.5%対82.5%です。差が大きく開いたのは、2026年の浸透と風土です(前掲の表)。

ここからは境界の近くに限らず、脱落207法人と維持270法人の群全体で、2025年から2026年への回答の変化を見ます。前年に選んでいた項目を翌年選ばなかった割合は、脱落のほうが高い値でした。経営関連指標の改善度合いの評価は、50.5%(206法人中104法人)対12.9%(264法人中34法人)でした。数値目標の背景・根拠の発信は、35.8%(162法人中58法人)対9.5%(242法人中23法人)です。空欄も選ばなかったものとして数えており、実際に取り組みをやめたかどうかは確かめていません。群の分け方そのものを含む比較なので、外れた理由とは言えません。

偏差値は申請法人の中での相対的な位置です。前年と同じ回答を続けていても、ほかの法人が回答を増やせば、順位は下がりえます。

2027年の制度で変わること

ここからは研究の結果ではなく、2027年の申請書と認定要件から読み取れる変化と、私の見通しです。

認定要件の「17項目中16項目以上」は2026年と同じです。申請書の6つの側面の並びも変わりません。ただし、6側面の配点は公表されておらず、申請書の並びから当てはめたものです。

設問では三つの変化があります。自社からの発信の目的・戦略では、「健康経営全体の具体的な数値目標」と「その設定に至った背景・根拠」の選択肢が消えます。健康課題の改善の数値目標の選択肢は残ったままです。健康風土の把握には、二つの選択肢が加わります。職場単位の雰囲気の変化を管理職からの聞き取りで把握するものと、職場単位の実践状況を管理職からの報告で把握するものです。組織への浸透の2問は1問にまとまります。

認定要件の長時間労働の項目は、「労働時間の適正化」と「長時間労働者への対応」の二つの部分に分かれます。申請書の注記によれば、次年度以降は両方の実施を適合の条件とする予定です。これとは別に、50人未満の事業場のストレスチェックは2028年4月1日から義務になると、申請書が注記しています。

過去5回では、評価の側面が変わらなかった年に、ブライト500の維持率が比較的高い傾向がありました。2027年も同じ6側面が続きます。ただし設問の選択肢と認定要件には変更があり、維持率が上がると予測できるほどの根拠はありません。2027年の認定結果で確かめる点です。

また、2026年の上位500法人の43%が健康風土の把握で満点でした。選択肢が加わると、満点だった法人どうしでも差がつき直す可能性があります。

この結果をどう読むか

前年に境界の近くにいた法人について、2026年の評価の差を見ました。差が大きかったのは、組織に届いたかを確かめる仕組みと風土の把握、社外への説明にかかわる側面です。これは評価制度がこれらの側面を重視していることを読み取ったもので、施策の有無で比べて検証したものではありません。

ブライト500は申請法人の中での相対評価です。ほかの法人が同じ取り組みを始めれば、同じことを続けていても相対的な位置は下がりえます。新しい評価が入った年に入れ替わりが大きかったことは、この見方と矛盾しません。ただし、各法人が新しい側面にいつ応じたかや、それが順位の変化の原因だったかは分かりません。

健康状態や生産性が良くなったか、発信や浸透の取り組みが順位を上げた原因かは、この分析では言えません。

産業医として最初に確かめること

評価の重心の移り方は、職場の健康管理の基本と重なる部分があります。

  • 健康施策が管理職を通じて職場に届いているか、職場単位の変化を誰がどう把握しているかを確かめます。2027年に加わる選択肢とも重なる点です。
  • 評価や発信を一度始めたら、担当者が替わっても翌年に続けられる体制かを確かめます。
  • 50人未満の事業場のストレスチェックと、長時間労働の二つの対応(労働時間の適正化と長時間労働者への対応)を確かめます。ストレスチェックは2028年4月1日から義務になると申請書が注記しており、認定のためだけの準備ではありません。

数値目標の根拠の発信は2027年の選択肢から消えますが、目標と根拠を組織の中で共有することの意味はなくなりません。認定の順位そのものは成果ではありません。順位の動きは、取り組みが組織に届いているかを点検するきっかけになります。ただし順位は届き方そのものを示さないので、確かめるには社内の記録や従業員への調査が要ります。

この分析で言えること、言えないこと

  • 2年分の比較で、同じ傾向が続くかは分かりません。
  • 群は2026年の結果で決まるので、2025年から2026年への変化の比較は群の定義を含み、因果を示しません。
  • 統計的検定は行っていません。差は割合と偏差値の差として示しました。
  • 偏差値はブライト500申請法人の中の相対的な位置で、取り組みの量そのものではありません。
  • 発信の項目は申請書への自己申告で、実際の公開物は確かめていません。
  • 2027年の見通しは申請書からの当てはめと推測で、2027年の評価結果で確かめます。

集計の方法と出典

集計の方法
  • 材料: 中小規模法人部門の評価結果一覧とフィードバックシート(2025年・2026年)、認定法人一覧(2021〜2026年)、申請書の見本(2026年版・2027年版)、認定要件(2025〜2027年)。
  • 照合: 評価結果と認定法人一覧は法人番号(一部は法人名)で結び、照合率は2025年99.7%、2026年99.8%でした。
  • 群の照合: 評価結果の法人を認定法人一覧と結ぶとき、同じ都道府県にある同名の別法人と取り違えた4件がありました。2025年の名称で一覧と結べなかった16件もあります。これらは、2026年の照合と順位の帯を手がかりに直しました。このうち群が変わったのは7法人です(新規入り4、維持1、脱落2)。直した後の群では、一覧で数えた新規ブライト500の225法人のうち171法人が前年の評価結果一覧に載り、54法人は載りません。維持の270法人は、一覧の数と一致します。直す前後で、側面ごとの差の割合(約52%と約57%)は変わりませんでした。
  • 年をまたぐ設問の比較は、文言が一致した22組に限りました。
  • 側面の偏差値はフィードバックシートの値です。総合偏差値が、配点で重みを付けた側面の合計でほぼ再現できることを確かめました(相関0.9987)。
  • 主な選択率と維持率は、元の一覧表から別に計算し直して一致を確かめました。この記事の数値は、照合を直した後の群で計算し直したものです。
  • 2025年のフィードバックシートの図の一部(3つの選択率)は回答データの値と合わず、回答データの値を使いました。
  • 公開されたフィードバックシートには、各社が自由に書いた本文は含まれていません。

出典

集計値のみを掲載し、個社の数値は掲載していません。観察データの記述であり、取り組みが認定や健康状態を変える効果を示したものではありません。

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フィードバックシートと社内の記録、従業員への調査をもとに、健康施策が職場に届いているかを確かめます。取り組みを続けて説明できる体制になっているかも、一緒に確かめます。中小企業の健康経営の現状分析と、認定制度への対応のご相談をお受けしています。

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